職人さんが現場で仕事をしていると、建主さんの家族がそろって、やって来ることがあります。
もう大分出来ただろうと楽しみにしながら、見にくるわけです。
大工さんが、一生懸命仕事をしているところへ、ドヤドヤとあがりこんできます。
子供は、あちこち飛び回り、夫婦は夫婦で間取りなどを見るのに夢中、子供のことなど眼中にない様子という具合です。
そのうち、大工さんの愛用しているノコギリを子供が踏みつけてしまいました。
それを見た大工さんは、とうとうここで堪忍袋の緒が切れました。
「どこのどなたか知らねえが、挨拶もなく勝手にあがりこんじゃこまるヨ。仕事の邪魔だ。トットとうせろ」と怒鳴りつけました。
それを聞いたご主人は、「何を言うんだ。無礼な!私はこの家の建主だ。うせうとは何だ」
工事が始まったらとうとう建主さんと大工さんとで、ケンカになってしまいました。
ふて腐れた大工さんは、「こんな仕事やれるか」と言って、サッサと帰ってしまいました。
現場には、何十人という職人さんが出入りします。
その一人一人が、必ずしも、建主である貴方を知らない場合があります。
たとえ、顔見知りであっても、「建主の口◇です。ご苦労様です。よろしくお願いします。すいませんが、ちょっと見せてください」と軽いねぎらいの言葉を添えて、挨拶すれば、職人さんの気分も、どれほどよくなることでしょうか。